多くの病気と同様に、認知症も情報収集が重要です。インターネットにも役立つ情報がたくさん載っているので、困ったときは探してみましょう。
今回は、「あれ、なんだか物忘れがひどくなったかも…… もしかして認知症?」そんな違和感をお持ちの方から、実際に診断されて不安に思われている方、65歳以下で発症された方まで、様々な方に向けてお役立ち情報を掲載いたします。
どれも厚生労働省のホームページで扱われている情報ですので、政府お墨付きの信頼性の高い情報ばかり。認知症の基礎情報から当事者の声、実際に相談できる窓口まで幅広くご案内します。迷ったときはこちらをチェックしてみてくださいね。
認知症について幅広く知りたい方は厚生労働省で紹介されているサイトをチェック!
まずは、厚生労働省が「認知症について知りたい方へ」の中で紹介している情報サイト2つを見てみましょう。どちらも基本的な知識や相談先などを知りたい方におすすめですので、要チェックです。
必要な情報が手に入る!【知っておきたい認知症の基本】
「認知症ってどんな病気?」「症状が出たらどうすればいい?」「困ったときに気軽に聞ける相談先は?」といった基本情報を知りたい方は、内閣府が運営する「政府広報オンライン」のページを見てみましょう。
「政府広報オンライン」は、政府の重要な施策や最新情報を掲載しているサイトです。認知症に関しては厚生労働省が担当しており、幅広い情報を収集できるのが特徴的。
予防のためにできることや症状が出たときの相談先、若年性認知症の方のための窓口一覧まで幅広く紹介されているので、まず情報を得たい方はこちらをチェックしてみましょう。
★ こんな方におすすめ
- 基礎情報を得たい認知症のご本人・ご家族
- 予防や相談先など幅広く知りたい方
介護者に役立つ情報が満載!【認知症介護情報ネットワーク】
介護について詳しく知りたい方は「認知症介護情報ネットワーク」のサイトを見てみましょう。
こちらは介護に関する研究・研修の中核的機関として、厚生労働省が設置した「認知症介護研究・研修センター」によって運営されています。
認知症の基礎情報だけでなく、治療薬や高齢者虐待、早期発見のために家族ができることなど、ご家族が気になるトピックがコラム形式でわかりやすく掲載されています。
具体的な事例をもとにしたアニメーション動画で学習できるプログラムもあるので、「介護の知識をもっと深めたい」という方に役立つこと間違いなし。
高齢者施設で働く介護スタッフの声もQ&A式で掲載されているので、今現在介護サービスを利用されている方も、これからのために情報収集したい方もぜひチェックしてみましょう。
★ こんな方におすすめ
- 介護しているご家族
- 介護サービスを利用している/検討しているご家族
- 介護について学習したい方
厚生労働省おすすめのリーフレットも便利!
イラストや図を使ったわかりやすい情報をお探しなら、リーフレットタイプがおすすめです。今回は厚生労働省のページで紹介されている3つのサイトをご紹介。当事者目線で作られたものもあるので、ぜひプリントアウトして活用してみてください。
あれ?っと思ったらこちら!【もしも 気になるようでしたらお読みください】
生活の中でちょっとした違和感を感じ始めたご本人とご家族には、リーフレット「もしも 気になるようでしたらお読みください」がおすすめです。
こちらは社会福祉法人 東北福祉会「認知症介護研究・研修仙台センター」によってまとめられ、厚生労働省が行う老人保健健康増進等事業のひとつとして発行されました。
前半は初期症状や相談先の情報、物忘れに対する生活のコツといった認知症のご本人向けの情報、後半はご家族向けにご本人への接し方や今後起こりうる症状などが掲載されています。
約50ページにわたる充実の内容ですが、全体的にうさぎのイラストをもとにした優しい雰囲気で、不安をかかえる方に寄り添う内容となっています。
「老化をこわがらなくていい」「認知症になっても自分らしく生きることができる」という前向きなメッセージが込められているので、ご本人が最初にふれる情報としてもうってつけ。プリントアウトして渡すのもいいですね。
★ こんな方におすすめ
- 「認知症かな?」と気になりだしたご本人・ご家族
- イラストが豊富でわかりやすい情報をお探しの方
- プリントアウトしたい方
当事者の声が聞ける!【本人にとってのよりよい暮らしガイド】
認知症と診断されたばかりの方は、「本人にとってのよりよい暮らしガイド」はいかがですか?
こちらのリーフレットは、厚生労働省が定める老人保健健康増進等事業のひとつとして、独立行政法人 東京都健康長寿医療センターより発行されています。
「一足先に認知症になった私たちからあなたへ」というサブタイトルのとおり、当事者の方の体験談やメッセージを中心に構成されているところが特徴的。
自分が大切にしたいことなどを書き留めるワークスペースもあり、「認知症になっても自分らしく生きていく」ための手がかりを見つけられる1冊となっています。
★ こんな方におすすめ
- 認知症と診断されたばかりの方
- 当事者の体験談やメッセージを読みたい方
- プリントアウトしたい方
現役世代ならではのお悩みに対応!【若年性認知症ハンドブック】
65歳未満で認知症を発症したご本人とご家族におすすめなのは、幅広い情報が1冊にまとめられた「若年性認知症ハンドブック」です。
こちらは厚生労働省の老人保健健康増進等事業のひとつとして、社会福祉法人 仁至会 認知症介護研究・研修大府センターによって発行されています。
症状などの基礎知識のほか、年金や傷病手当金、住宅ローン、生命保険といったお金にまつわる情報や、休職や退職後の再就職など就労に関する情報、症状が進行したときに使える介護保険や成年後見制度まで、約50ページにわたって必要な情報がまとめられています。
若年で発症した方は高齢者とは違った課題が発生するので、まずは専門性が高いこちらのハンドブックに目を通してみましょう。
★ こんな方におすすめ
- 65歳未満で認知症を発症したご本人とご家族
- 就労や経済的負担、車の運転などについて知りたい方
- 今後利用できる制度について知りたい方
認知症に関する「相談窓口」をお探しの方に
厚生労働省では認知症に関する主な相談先を紹介しています。今回は地域の総合窓口「地域包括支援センター」と、医療的なお悩みに対応してくれる「認知症疾患医療センター」について見てみましょう。
頼れる地域の公的窓口!【地域包括支援センター】
地域包括支援センターは、地域で暮らす高齢者を支えるために「介護予防ケアマネジメント」「総合相談」「包括的・継続的ケアマネジメント」「権利擁護」の4つの業務を行っている自治体の窓口です。
地域包括支援センターはすべての市町村に設置されており、全国に5,404ヶ所。だいたい中学校区に1つあります。地域で介護していく中で必ずと言っていいほどお世話になる機関ですので、あらかじめお近くのセンターを確認しておきましょう。
★ こんな方におすすめ
- 介護をされているご家族
- 何でも相談できる公的窓口をお探しの方
- お住まいの地域に対応した情報を得たい方
医療に関するお悩みはこちら!【認知症疾患医療センター】
認知症疾患医療センターは、認知症に関する医療相談や診察に応じる専門の医療機関です。
総合病院や大学病院、精神科病院や診療所など、全国に499ヶ所(令和4年10月現在)設置されており、もの忘れ相談から認知症の診断、治療に関する相談まで幅広く対応してくれる窓口があります。
お近くの医療センターをお探しの方は、地域包括支援センターに問い合わせてみるとよいでしょう。受診するにはかかりつけ医からの紹介状が必要な場合もあるので、確認してみてください。
★ こんな方におすすめ
- 認知症に関して医療的な相談をしたい方
- 診断や治療について知りたい方
厚生労働省HP掲載!「電話相談窓口」はこちら
介護の悩みを聞いてもらいたいときや若年性認知症について知りたい方は、厚生労働省が掲載する電話相談窓口もおすすめです。フリーダイヤルのものもあるので、詳細を各ホームページでチェックしてみてくださいね。
介護経験のあるスタッフが対応!【認知症の人と家族の会の電話相談】
公益社団法人 認知症の人と家族の会では、研修を受けた介護経験者の方が相談にのってくれる電話サービスを提供しています。
本部のフリーダイヤルのほか、全国にある支部でも電話相談を受け付けているとのこと。症状に関するお悩みや介護の仕方など、経験者のお話を聞きたい方におすすめです。
★ こんな方におすすめ
- 介護をされているご家族
- 介護経験者のお話を聞きたい方
若年性認知症に特化した電話相談!【若年性認知症専用コールセンター】
若年性認知症に関するお悩みなら、認知症介護研究・研修大府センターが運営している電話相談窓口がおすすめです。
ご本人や介護されているご家族だけでなく、子どもたちや職場の方などからの相談も受け付けているとのこと。同センターのホームページでは、「コールセンターにとどいた声」として相談内容と相談員からの回答が多数掲載されていますので、そちらも合わせてご覧ください。
★ こんな方におすすめ
- 若年性認知症のご本人やご家族はじめ、ご本人に関わる方
- 症状や介護について電話で聞きたい方
「かかりつけ医」をお探しの方はこちら
認知症を診てもらえるかかりつけ医をお探しなら、厚生労働省が公開する医療機関や専門医の検索サイトを見てみましょう。お住いの地域の「もの忘れ外来」や、認知症に関する学会が認定する専門医を手軽に検索することができます。
お近くのかかりつけ医をお探しなら!【もの忘れ外来】のリスト
「これって、認知症?」と違和感を感じ、医療機関を探し始めた方には「公益社団法人 認知症の人と家族の会」が公開する「もの忘れ外来(認知症外来なども含む)」の一覧がおすすめです。
「もの忘れ外来」とは、その症状が老化に伴う正常な「物忘れ」なのか「認知症」なのかを区別し、早期発見・治療につなげる医療機関です。
こちらは同会が独自に調査して公開している情報で、「推奨している病院ではありません」と添えられているものの、都道府県ごとに医療機関が掲載されているので大変便利です。
★ こんな方におすすめ
- お近くの「物忘れ外来」をお探しの方
- 都道府県ごとに検索したい方
都道府県ごとに掲載!【日本認知症学会認定専門医】のリスト
認知症医療に関する一定以上の知識と経験、技量をもつ「日本認知症学会認定専門医」をお探しなら、「一般社団法人 日本認知症学会」のホームページで検索してみましょう。
全国の認定専門医が都道府県別にリスト化されているので、該当地域からお近くの病院・専門医を選びたいときにおすすめです。
★ こんな方におすすめ
- 「日本認知症学会認定専門医」をお探しの方
- お近くの医療機関をお探しの方
検索システムが便利!【日本老年精神医学会専門医】リスト
老年精神医学について優れた知識と技能、倫理観を備えた臨床医「日本老年精神医学会専門医」をお探しの方は、「公益社団法人 日本老年精神医学会」の検索システムを活用してみましょう。
都道府県ごとのリストを見られるほか、「所在地」「氏名」「所属」の条件による検索も可能です。
★ こんな方におすすめ
- 「日本老年精神医学会専門医」をお探しの方
- お近くの医療機関をお探しの方
まとめ
インターネットには認知症に関する様々な情報が掲載されています。手軽に調べられて便利な反面、欲しい情報がなかなか見つからなかったり、信頼性が不確かなものだったりと、その見極めはなかなか難しいことも。
どこで情報を収集したらよいか迷ったときは、まずは厚生労働省が推奨するサイトをチェックしてみましょう。公式の最新情報が手に入るので便利ですよ。
今回ご紹介したサイトやリーフレット、相談窓口は、どれも厚生労働省のホームページに掲載されていたものですので信頼性は抜群。数多くある情報の中から認知症のご本人・ご家族におすすめの情報をピックアップしたので、今後もぜひこちらのページをご活用ください。
【参考サイト】
● 厚生労働省
『認知症施策』
『認知症に関する相談先』
『地域包括支援センターの業務』
『認知症疾患医療センター運営事業』